国際課税ニュース(2022年12月1日)  国連総会、グローバルな課税ルールを国連のもとに策定する決議を採択

 TAX JUSTICE NETWORKの2022年11月23日付の記事によれば、国連総会は、国連にグローバル税制の創設に向けて主導権を発揮することを義務づける決議を全会一致で採択した。米国は決議内容をあいまいにする修正を試みたものの、失敗に終わった。

国際課税のルール形成では、これまでOECD租税委員会が仕切り役を担ってきたが、これは先進国優位の方式であるとして、途上国やNGOからの批判を受けていた。この決議により、グローバル企業が先進国政府を通じて企業寄りのルール形成に影響力を行使する回路が縮小される可能性がある。

 今後は、多国籍企業や超富裕層による課税回避策の濫用に終止符を打つために、グローバルな税制を全面的に見直す国連租税条約の制定に向けて、政府間の協議が始まることになる。その成果が結実するにはかなり長期間の交渉プロセスが想定されるが、将来的にはグローバル課税機関の創設が見込まれており、グローバル・ガバナンスの新時代の展望が開けてきたといえる。