インドネシア大使館とミズノ本社へ要請
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- 公開日:2017年09月09日(土)18:12
インドネシアPDK労組、ミズノとアディダスへキャンペーン
―1300人の大量解雇から5周年―
遠野はるひ(横浜アクションリサーチ)
ミズノブランドの靴を製造していたインドネシアのサプライチェーン・PDK社で、女性労働者たちが組合を結成し労働条件の向上のためにストライキを行った結果、2012年7月に1300人が大量解雇されたこと、日本でも2017年10月にミズノ東京本社前で要請行動を実施したことはすでに報告した。
7月15日、突然、インドネシアのPDK労組の上部団体・GSBIよりメールが届いた。内容はPDK争議の5周年にあたる7月12日から18日まで、アディダスとミズノをターゲットに国内キャンペーンを実施しているので、海外でも共同要請文に署名し、キャンペーンに参加してほしいというものだった。最終日の18日には抗議行動を実施する予定だという。
2012年7月12日、2000人の労働者が労働条件の向上と不当解雇されたココム委員長の復職をもとめてストライキに突入。5日間にわたるストライキの終了後、7月18日に1300人が解雇されたが、現在も346人がPDK社と同様の下請け工場に再就職しながら、PDK労組に所属し闘いを続けている。PDK労組はこの女性たちとともに抗議行動を続け、ILOの結社の自由委員会にも提訴した。また、女性たちのネットワークを使い労働者自身でアディダスのサプライチェーンで働く労働者の実態調査もおこなっている。2016年11月には、ILOから勧告が出された。ILOはPDK労組の主張を認め、インドネシア政府にこのケースの調査をすることを要請している。
5年間の怒りをこめて
7月18日の行動日、バスをチャーターしてタンゲラン市からジャカルタまで来たPDK労組員たちは支援者とともに、10時からドイツ大使館前でドイツ多国籍企業であるアディダスへ退職金を支払うように指導することをもとめ、続いてアディダスのジャカルタ事務所前で抗議行動を繰り広げた。
ドイツ大使館前でのPDK労組
アディダスジャカルタ事務所前で
午後からは労働省前でピケをはりILO勧告の実現を要求した。同日、解雇直後からPDK労組を支援していたクリーン・クローズ・キャンペーン(CCC)は、アディダスとミズノ宛に公開書簡を発表し、両社が今もパルナブグループをサプライチェーンとして使っていること、PDK労組員の生活の困窮、PDK社の組合潰しや違法な労働条件をとりあげ、ILO勧告を実現する責任を問うた。ミズノに対しては、この争議の調査を実施したにもかかわらず、PDK社はインドネシア労働法に違反していないと結論をだしたことへの疑問を呈した。
労働省での要請行動
7月15日にキャンペーン参加の要請を受けた日本の私たちは、ミズノとインドネシア政府への共同要請文[インドネシア政府宛要請文PDF(日/英)、ミズノ宛要請文PDF(日/英)]の署名団体・個人を募ったところ、2日間で6団体、32人の個人の署名が集まり、7月19日に5人でインドネシア大使館とミズノ東京本社に英文の要請文を届けた。インドネシア大使館では、政治部か経済部のどちらの部署が共同要請文を受け取るか決めていないので、とりあえず窓口で受けとることになった。ミズノ東京本社前では2人の管理職が待ち受けていたので、共同要請文を渡すとともにPDK労働者の現状とILO勧告の内容を説明して早期の解決をもとめた。この私たちのささやかな国際連帯へPDK労組のココム委員長から謝辞が届いた。
インドネシア大使館前で
ミズノ東京本社に要請行動
ミズノにパンチ
ミズノからのキャンペーンへの応答は、7月20日、CCCの公開書簡への返事という形で発表され、ミズノは自分たちの対応は変わらないしILO勧告へはコメントする立場ではないと断言した。東京オリンピックが3年後にせまった今、サプライチェーンの問題はさらに大きくとりあげられるようになるだろう。
ミズノのみなさん、私たちはあきらめません!
レイバーネット日本ウェブサイト(2017年8月15日)から転載
http://www.labornetjp.org/news/2017/0815mizuno
写真:笠原真弓 小畑精武