トヨタサプライチェーン、ナンブ・インドネシアが労組リーダーを脅迫

5月6日朝、トヨタのサプライチェーン、ナンブ・インドネシアの労働組合(SEBUMI)のリーダー、サイフルの家に9人の男がやってきた。9人は二手にわかれ、4人はサイフルと妻を脅かし、残りの5人はサイフルの家の近くで見張りをしていたので、近所の住民は恐ろしくて外出できなかったという。

5月1日のメーデー、サイフルをはじめとするSEBUMIのメンバーは他の仲間たちとともにインドネシアトヨタ社前でデモを行った。同日、労働組合・NGO18団体はトヨタに対して声明「トヨタのサプライチェーン、ナンブ・インドネシアが行った解雇を拒否する」を発表した。

この声明は、日本企業がインドネシア自動車市場をほぼ独占し、そのなかでも生産・販売が突出しているトヨタの社会的責任を問いながら、インドネシア労働法に従ったナンブ・インドネシア解雇者の復職と労災被災者への適切な治療を要請している。また、トヨタのサプライヤー798社の労働者の多数が契約労働者であり、正規労働者も長時間労働をしなければならない現実を指摘している。

サイフルもトヨタの前でマイクを握り現状を訴えたが、その中でガードマンをヤクザと中傷したというのが、9人が来訪した理由だという。4人はサイフルにもっと多人数で家に押しかけると言い放ち、妻には「未亡人になるぞ」と繰り返し罵声を浴びせた。彼らは名前を名乗らなかったが、そのうちの1人がナンブ・インドネシアのガードマンのコーディネーターだと語った。

4月2日、3日とナンブ・インドネシアは突然、60人以上の労働者を解雇し、その中にはサイフルたちSEBUMIのリーダーも含まれていた。解雇された労働者はすぐに職場を立ち去るように命令され、ガードマンが見張る中15分で荷物をまとめ追い出された。当日、労働者たちは会社の構内のいたるところにいた自警団・警察・軍隊の姿を映像に残している。

現在、支援者たちはサイフルの家をガードするために集まり、警察や人権委員会に訴えを出している。

インドネシア13都市でトヨタへデモ

ナンブ争議連帯委員会(KSPBN)が労災・解雇に抗議して組織

1ゕ月近く前、トヨタのサプライチェーン、プラスチック部品を製造しているナンブ・インドネシアにおける労働争議のニュースを流しましたが、続報をお伝えします。

ナンブ・インドネシアの労働組合、SUBUMIは、女性労働者の労災および契約労働者9人の正規労働者への身分変更をもとめて交渉を申し入れましたが、会社は要求を拒み続けたばかりでなく、これらの契約労働者を契約期間が終了したとして解雇。3月8日、SEBUMIは関連労組であるSEDARとともに、ナンブ・インドネシアの理不尽な態度を製品の納入先であるトヨタに訴えようと、北ジャカルタ、スンダーにあるトヨタ・インドネシア(TMMIN)にデモをした。

会社は4月3日までに61人の非正規・正規の労働者を解雇した。インドネシアの労働法は妊婦を解雇するのを禁じているにもかかわらず、解雇者の中には妊婦もいた。会社から労働省地方事務所に送られた手紙によれば、解雇理由の一つはナンブ・インドネシアと顧客(トヨタ)への抗議行動に参加したからというものだった。

解雇当日、労働者たちはマネージャーに解雇を言い渡され、兵士と警察官が見守る中、セキュリティガードと私兵に監視されながら、わずか15分で私物の整理をさせられ、工場の外に追い出された。SEBUMI(ナンブ・インドネシア労組)の幹部も解雇され、労組事務所の鍵、重要文書も取り上げられた。解雇された労働者のうち、33人が解雇を認めず、職場復帰を求めていくことを決め、彼女・彼らの支援のためにナンブ争議連帯委員会(KSPBN)が数百人の参加で組織された。

4月8日、ナンブ争議連帯委員会のメンバーは再びトヨタ・インドネシアと日本大使館へのデモをおこなった。9日、抗議行動はジャカルタの他に、12の主要都市―ブカシ、バンドン、テルナテ、モロタイ、スラ、トベロ、アンボン、クパン、タラカン、マカッサル、マナド、ジョクジャカルタへと広がった。

ジャカルタ
ジャカルタ
マッサル
トベロ
テルナテ
 

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http://www.labornetjp.org/news/2018/0404toyota

トヨタのインドネシア・サプライチェーン、ナンブ・インドネシアで27人が解雇


工場前の解雇された労働者たち 

4月2日の深夜、インドネシアの労組・SEDARからメールが届いていた。「今日、委員長、副委員長、書記長を含む、ナンブ・インドネシア(Nanbu Plastics Indonesia)の労組・SEBUMIのメンバー27人が解雇された。ナンブ・インドネシアで起きた労災と非正規雇用問題を訴え、トヨタ・インドネシア(TMMIN)へ抗議行動をした報復だろう。」

•事件の発端は契約労働者の労災

ナンブ・インドネシアは、2010年に南部化成の子会社として、自動車関連の日本企業が集積していているブカシに設立。プラスチック製品の自動車部品を製造し、製品をトヨタ関連工場に納入しているトヨタのサプライチェーンである。ナンブ・インドネシアの従業員は約600人でその約半数が契約労働者であり女性が多い。ちなみに、南部化成は2015年10月には全株式が日清紡グループに譲渡され、日清紡の傘下の子会社となっている。

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インドネシア・ダイハツの販売店労働者が不当解雇

インドネシア・ダイハツの販売会社であるカリスマ・セントサ・マカッサル社は、過酷な労働条件を是正しようと結成された労働組合との交渉を拒否しただけでなく、2017年12月23日、警告もなく突然、組合役員6名、組合員3名を解雇した。

南スラウエシ州の主要都市に店舗をもつカリスマ・セントサ・マカッサル社(会社)は、ダイハツから公認され、ダイハツの海外子会社、アストラ・ダイハツと覚書を交わす覚書を交わす販売代理店である。

しかしながら、その労働条件は過酷で、月に車を3台販売しなければ最低賃金に達せず、健康保険への登録も無視され、2016年の経営陣の交代によりそれまでは明確ではなかった販売員の身分を契約労働者とした。会社の明らかな労働法違反に我慢できなくなった労働者たちは、2017年10月に全国自動車労働者組合(SPON)を結成し、労働移住省地域事務所に登録した。SPONは、ナショナルセンターである全国労働組合連合(KSN)傘下にある全国労働者闘争連盟(FPBN)の加盟団体である。


2017年12月28日、ダイハツ販売会社前で組合潰しへの抗議行動

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ダイハツのインドネシア販売会社で組合つぶし

インドネシア・ダイハツの販売会社であるカリスマ・セントサ・マカッサル社は、労働組合の存在を否定。組合に加盟した労働者は、何の警告書もなしに解雇された。

全国自動車労働者組合(SPON)の6人の役員と3人の組合員は、販売代理店内に労働組合を結成した理由で解雇された。ダイハツの販売会社であるカリスマ・セントサ社の経営者は何の警告あるいは補償もないままに労働者を解雇した。

「彼らの名前が従業員名簿から外され、解雇手当は払われなかった」と、SPONの上部組織である全国労働者闘争連合(FPBN)のハッタ議長は言った。この記事が公表される時点では、会社はなお9人の解雇された労働者の復職を認めていない。

2017年10月にインドネシア労働移住省地域事務所に正式に登録したSPONは、会社に無視されてきた労働者の権利のために闘う目的で結成された。カリスマ・セントサ社では、販売労働者は、地域の最低賃金規定に対応した月給を受け取るためには、毎月3台の販売目標を達成するほかなかった。

「労働者が月間販売目標を達成できない時には、給料は約180万ルピア(134ドル)しか払われない。マカッサル市の地域最低賃金は250.4万ルピア(187ドル)であるにもかかわらずだ」とハッタは語った。「最低賃金以上を得るには、労働者は、販売目標を達成してボーナスと奨励金を獲得しなければならない。」

少なすぎる給料に加えて、インドネシア・ダイハツ公認販売会社の労働者40人は、国家医療保険(国家社会保障制度:SJSN)にも登録されなかった。社会保障制度実施機関設置法(2011年法律第24号)によれば、雇用者は従業員を健康保険制度に登録する義務を負っている。

カリスマ・セントサ社の労働条件もまた、会社経営陣の交代の後、さらに悪くなっていった。2016年に新たにゼネラル・マネージャーになったロニ・オクタビアヌス・ギンティンは、報酬制度と労働者の身分に関する会社の政策を変更した。ハッタによれば、この新しい報酬制度は、労働者がボーナスと奨励金を得ることを困難にしたという。

ロニの経営のもとで、会社は、長期雇用労働者を契約労働者に置き換える新たな労働身分制度を定めた。この新たな政策により、労働者は雇用された時点から労働契約書をもたない不安定な状態にされた。「労働契約は口頭で伝えられるだけで、労働者は会社の規則を受け入れるしかなかった」とハッタは言った。

この労働身分制度は、契約労働者の身分が販売労働者にのみ適用される点で差別的なものである。支店の中間管理職や上層部は期限のつかない身分を享受している。

このように会社は、雇用関係の点でインドネシアの「労働に関する法律」(2003年法律第13号)に違反している。同法によれば、「期間限定の労働契約」として定義される有期契約は、恒久的性質をもつ労働には適用されない。

この点で、カリスマ・セントサ社の販売労働者は、まさに自動車販売の中核的業務に従事しており、その労働は恒久的性質をもつ。言い換えれば、販売労働者の労働身分は無期契約でなければならない。

会社の反組合的姿勢

労働条件の悪化に対して、組合労働者は2017年12月11日、経営側に交渉を申し入れた。しかし、経営側は、労働組合の存在を認めないとして、交渉要求を拒否した。経営側の交渉拒否を受けて、一部の労働者は抗議の意味で販売活動の停止をするストライキの計画をたてた。

2017年12月21日、新しい支店マネージャーを紹介する式典の間に、労働者は会社にストライキを通告した。その2日後、販売停止活動を計画していた労働者は解雇された。
「新しい支店マネージャーを紹介するセレモニーの間、会社は労働者にストライキの理由を問いただした。労働者は解雇されると、直ちに退去することを求められた」とハッタは語った。

解雇された労働者の大部分は、組合の組織諮問部門や執行委員会の役員だった。名前は、ウマイア・アルシャド、ムルヤディ、シャフリアント、ジュフラン・M・ハルディ、カスマルだ。

一方的な雇用関係の打ち切りを受けて、SPONは、2017年12月28日、カリスマ・セントサ社の販売店前で抗議行動を組織した。行動は、契約労働身分、組合潰しに抗議し、解雇された労働者の職場復帰を要求するのが目的だった。それに加えて、SPONは会社に、最低賃金保障、健康保険加入の義務に従うように要求した。

しかし、会社は労働者の要求に応じようとしなかった。会社はまた、労働者の団結権を保障する「労働組合に関する法律」(2000年法律第21号)に違反し、労働組合の存在を否認し続けた。

こうした法律違反に加えて、会社は暴力団を動員して抗議行動に参加する労働者を威嚇した。「ストライキと同時に交渉が始まると、会社はPemula Pancasilaと呼ばれる暴力団およびその他の正体不明の集団を、会議室に招き入れた」とハッタは付け加えた。

南スラウエシ州マカッサル市グヌン・ラティモジョン通り78Aに位置するカリスマ・セントサ・マカッサル社はダイハツ公認の販売会社の一つだ。会社は、アストラ・ダイハツ自動車の公式ウエブサイトにリストアップされている。

1992年の設立以来、アストラ・ダイハツ自動車は、ダイハツ自動車の主要な海外合弁企業の一つであり、ダイハツ・ブランドのインドネシア代理店として、そしてダイハツ・トヨタの自動車および自動車部品の生産者・販売者としての役割を果たしてきた。

ダイハツの主要な海外合弁企業であり、そのグローバル・サプライ・チェーンの一部であるアストラ・ダイハツ自動車の販売店を通じて、ダイハツは自動車を販売し、利潤を生み出してきた。インドネシア全国の販売店における販売労働者の労働を通じてのみ、それが可能になったことは明らかだ。

労働者の権利が無視される一方、ダイハツは2017年1月から10月までの間に、15万6993台の自動車を売るという記録を達成した。それによってダイハツの市場シェアは17.8%へと上昇した。

広報:ハッタ(FPBN)
編集:レビエ・コリルラマン
この文書の出所:http://ksn.or.id/union-busting-in-an-authorized-daihatsu-automobile-dealer/?lang=en