CCCのユニクロ宛手紙(2017年8月15日)

 

 

 

新田幸宏様
グループ上席副社長
サステナビリティー担当
ファーストリテイリング社

2017年8月15日

インドネシア、ジャバ・ガーミンド社元労働者たちへの未払いの解雇手当について

新田様

私たちは、ジャバ・ガーミンド社元労働者たちの要求を支援する労働組織の国際的な連合体としてこの書簡を送付します。元労働者たちには、2015年4月の突然の工場閉鎖による解雇手当580万米ドルを支払われるべきであります。

私たちは、ジャバ・ガーミンド社元労働者を代表する組合から、法的手続きに従って支払われるべき雇用主の資金は枯渇してしまったと聞いています。このことは、長年にわたって製品を納入してきたユニクロの関与がなければ、未払いの状態が続き、多くの労働者とその家族は悲惨な境遇のままであることを意味します。

これまでの書簡の交換を通じてユニクロは、工場閉鎖以前にジャバ・ガーミンド社での生産委託を終了したので、同社には責任はないとの立場を表明しています。明らかに、この回答は不十分であり不適切です。解雇手当は、単純に工場閉鎖時点での取引関係の有無の問題ではなく、取引終了後も含めたビジネスの関係から考慮されるべきです。

第一に、未払い賃金ともいえる解雇手当は、サプライヤーが法定賃金の支払い義務に関して法令遵守に努めているかどうかをチェックする項目の一つです。ユニクロが、ジャバ・ガーミンド社がこの法令遵守義務を履行しているかどうか確認を怠ったことは明らかです。

第二に、会社がサプライヤーとの長期にわたる取引関係を終了させる時には、その決定が過酷な権利侵害をもたらさないことを保証すべく適切なデュー・ディリジェンスを実施することが特に重要です。ILOの多国籍企業と社会政策の原則に関する三者宣言34条は次のように述べています。

「多国籍企業は、雇用に重大な影響を及ぼすような事業活動の変更(合併、業務の譲渡又は生産の移転から生じるものを含む)を検討するに当っては、悪影響を最大限に緩和するために、共同して検討を行いうるよう、適切な政府機関、当該企業が雇用する労働者及びその団体の代表に対して、かかる変更についての合理的な予告を行うべきである。以上のことは、集団的レイオフ又は解雇を伴う構成体の事業閉鎖の場合に特に重要である。」

ユニクロは、工場に組合が存在するにもかかわらず、ジャバ・ガーミンド社の工場閉鎖のわずか2ヶ月前に行った取引中止に先立って、組合への上記のような手続きを実施した証拠を示せていません。労働組合の存在は、モニタリングによって確認できたはずです。

さらに、バイヤーの責任が単純に生産終了の日に終わるのでないことは、この産業の最良の実践によって示されています。たとえば、最近延長されたバングラデシュ・アコード(バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全にかかわる協定)によれば、労働基準(この場合、安全基準)を保証する署名者の義務は最終発注の日から18ヶ月間継続すると規定されています。この原則を適用すれば、ジャバ・ガーミンド社の閉鎖の前後における労働者の権利に対してユニクロが責任を負っていたことは明らかです。

つまり、ジャバ・ガーミンド社のバイヤーが、適切なデュー・ディリジェンスの実施と労働者の権利(インドネシアの国内法と国際基準の両方における)への尊重を怠った結果、労働者たちはこの悲惨な状況を耐え忍のんでいるのです。私たちはこのことを受け入れられません。労働者たちが何の落ち度もないのに労働者たちが被っている苦難を終わらせるためにユニクロが明確に責任を負うことを強く求めます。

私たちは当該組合から、ユニクロがILOのベター・ワークに未払い解雇手当についてユニクロと組合との間の仲裁役を依頼したこと、最初の「情報共有会合」がすでに開かれ、組合側は問題解決に向けて交渉が開始される日を待っていることを伝えられています。

私たちは、ユニクロがこの機会を捉え、ジャバ・ガーミンド社の労働者への補償に対して明確な意思をもち、できるかぎり速やかに組合との誠実な交渉に入ることを要請します。今年の早い段階で1万7千人の人々がこの要求を支持して、War on Wantのサイトから署名をおこなっています。世界中の消費者は、公正に操業し、労働者の権利が尊重される会社の製品を求めているのです。

ジャバ・ガーミンド社の労働者は、彼らに支払われるべき手当の受取を2年以上待ち続けています。私たちは、できるだけ早く労働者に支払がなされるようにユニクロに要請を続けます。私たちは、9月第1週までに問題解決に向けた取組の概要を示す前向きな回答がユニクロから寄せられることを期待します。

敬具

サマンサ・マヤー クリーン・クローズキャンペーン(CCC)国際事務局
遠野はるひ 横浜アクションリサーチ
ラウラ・セレスナ-チャトベディ ドイツ緊急アピール
キキ・ヨン SACOM、クリーン・クローズキャンペーン東アジア(CCC-EA)代表
ツルシ・ナラヤナサミ War on Want

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