CCC(クリーン・クローズ・キャンペーン)がユニクロ声明に反論

インドネシアにおけるユニクロのサプライチェーン、ジャバ・ガーミンド社争議に関して1月18日、ファーストリテイリング社はウェブサイトで声明を発表した。声明では「ジャバ・ガーミンド社の倒産は生産委託終了後におきたもので法的責任はなく、ジャバ・ガーミンド労働者への金銭的補償をおこなう合理的理由はない。人道的見地からの救済措置として再雇用促進に関する支援の提供を労働組合に提案している」と従来の主張を繰り返した。

• CCCによる反論

2月23日、ユニクロ声明に対するCCCの反論「労働者への支払いを拒否したユニクロへの声明」がウェブサイトに掲載された。(日本語訳はこちら

なぜユニクロに責任を問うのか。CCCは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)がサプライチェーンにおける人権尊重の確保と人権侵害を防止することは多国籍企業の責任であると明記していることに依拠し、ユニクロは生産量、工場の操業管理への影響力という点で重要なバイヤーであったにもかかわらず、UNGPsで示されている責任を果たさず、取引を停止する際にも労働組合に説明がなかった、サプライヤーが倒産した場合補償金の支払に同意した国際ブランドは多数あるとユニクロに反論する。

また、ユニクロの不適切な対応も批判している。2017年7月に実施された組合との会合においてユニクロは、交渉の意図はないことを明らかにしながらも、次回の会合を開くことに同意したが、組合からの再三の要請にもかかわらず、現在にいたるまで実現していない。代わりに労働者の再雇用先を支援することを考えているというメールが届けられたが、この提案は様々な観点から不適切であると組合は考えている。

• ロンドンの美術館の玄関に、柳井社長あてのメッセージ

この声明の前日、2月22日夜、ロンドンの美術館、テート・モダンの正面玄関に、「柳井正 あなたを金持ちにした労働者へお金を支払ってください」というメッセージが、英語・インドネシア語・日本語によりプロジェクターで照射された。CCCとイギリスの団体であるレイバー・ビハインド・ラベル、ワ―・オン・ウォントが企てたのだ。

翌日、2月23日は「UNIQLOテート・レイツ」の日。ユニクロはテート・モダンを後援しており、毎月最後の金曜日に「UNIQLOテート・レイツ」と称して、NTSラジオの協力で音楽のプログラムを提供している。折しも、2018年2月6日はイギリスで女性の参政権を認める法律が制定されてちょうど100年になり、テート・モダンでは女性参政権獲得に寄与した女性の絵画などの展示がおこなわれ、2月23日の「UNIQLOテート・レイツ」でも女性アーチストをとりあげた。

女性の権利を推奨しているユニクロは、ジャバ・ガーミンドの女性労働者の人権も大切にしてほしいという願いが、柳井社長あてのメッセージには込められていた。

(詳しくはCCCのウェブサイトに掲載されています)

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