ユニクロとはどういう企業か

2017.10.28

●急成長したアパレル企業

山口県の個人商店から出発したユニクロは、1991年に社名をファーストリテイリングに改め、ユニクロ・ブランドの店舗を内外に拡大して急成長を遂げた。売上高は2008年度には約6000億円であったのが2013年度に1兆円を突破し、2017年度には1兆8600億円まで伸ばし、2018年度には2兆円を越える見通しである。現在の日本の小売企業売上高ランキングでは、イオン、セブン&アイに続く第3位となる。

また、営業利益をみても、2008年度の875億円から2013年度1329億円、2017年度1764億円へと増加し、2018年度には2000億円に達する見込みである。



急成長は、店舗数、従業員数の増加にも見ることができる。2008年度の店舗数は国内ユニクロ759店、海外ユニクロ54店、グローバル事業(ユニクロ以外のブランド)498店、合計1311店だったが、2016年度にはそれぞれ837店、958店、1365店、合計3160店まで増加した。国内店は横ばいの一方、海外店とグローバル事業が急増したことがわかる。また、正規と非正規を合わせた全体の従業員数も、2008年度の2万人から2016年度の7万人へと3.5倍ほど増えている。

 

●中国との深い関係

ユニクロ急成長の要因として、製品の開発力、販売網の組織力、広告宣伝力などが指摘されているが、委託方式の生産組織力が重要なことは間違いない。ユニクロは資本関係のある生産子会社をもたず、すべて生産委託方式で製品を調達してきたが、その情報はこれまで公開されてこなかった。

2017年2月、大企業のサプライチェーンへの社会的責任追及の声が大きくなるなかで、ようやく海外の主力146工場(日本の3工場を含む)のリストが公表された。これは国別に工場名、住所のみが記された不十分なものだが、それでも海外生産の一端をうかがうことができる。それによると146工場のなかで中国は87工場、全体の60%を占める割合となっている。生産管理を目的に上海事務所が設立されたのが1999年のことで、それ以降、中国が最大の生産拠点として位置づけられてきたといえる。

販売面でも中国市場の存在は大きい。2016年度の中国店舗数472店は、海外店舗数全体の49%、国内店舗数の56%に達している。このことを反映して、中国の販売子会社の売上収益は国内ユニクロ事業の27%に相当する実績をあげている。

●CSRは本物か

ファーストリテイリングのウエブサイトをみると、サステナビリティのタイトルのもとに、様々な社会貢献的活動が紹介されている。また有価証券報告書をみると、事業状況の説明のなかで特に「CSR活動」の項目を立て、2016年にインドネシアの取引先企業従業員1万2千人への教育支援プロジェクトを実施、それに先立って2015年からはバングラデシュの工場労働者支援プロジェクトに取り組んでいると記されている。

バングラデシュもインドネシアもユニクロが生産委託工場を配置している国である。それゆえ、こうしたプロジェクトを発足させたと考えられるが、たとえばユニクロとの取引打切りのために倒産したインドネシアのジャバ・ガーミンド社労働者への補償について、ユニクロはきわめて冷淡である。この点で、ユニクロのCSRが本物かどうか、疑念を抱かざるをえない。